ストロボの夜
新染因循



焼きついてしまった夜よ、
アオカケスが鳴きだしてしまうまえに
壊れかけのストロボからにげ
海の跡をたどる二人のすがたを
巨人のごときかいなで隠してはくれまいか。
琥珀色のひとみたちが
レコードのようなさざなみにとけはじめ
焼きついてしまった夜よ、
ぼくたちはおまえに影もなく眠る。


自由詩 ストロボの夜 Copyright 新染因循 2021-08-04 23:26:29
notebook Home 戻る  過去 未来