海底の街
秋葉竹



夏は、アスファルトの匂いがする
横断歩道が、浮雲の橋だったりする
昨日は夕陽が夢のように綺麗な絵画をみた
眠れてなどいない、ただ透きとおっている

血まみれのイノシシが
ビルの間を疾走するのが昨夜の夢
傷ついても、思い通りでありたい
寂しい、強い、意志。

そこは良い人ばかりで、まるで静かな
海底を、浮遊しているクラゲみたいな
悲しむ人さえいない、そんな街。
そして夜は、少しピンク色に染まる

明日、黄色い涼やかな風が吹けば
私の目から、水色の空が流れ出すだろう
道に倒れたそのやわい肉を、だれか
抱きしめに来てくれは、しないだろうか。









自由詩 海底の街 Copyright 秋葉竹 2021-08-02 23:15:42
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