未定
空丸

  一緒に暮らす


どこにもいかず どこにもいない
空のように
雲があったり なかったり
静かで 時に騒がしく
一緒に暮らす

  *

一緒に暮らすとは
背中合わせのぬくもりだ

  *

あなたは 人 と
ひとくくりにできない得体のしれない億年単位の産物 私も
分かっているようで何も知らない
分かりあえたようでずっとすれ違っていた
でも
一緒に暮らせないことはない
お互いにね


  物心は本当についたのか


静かな休日が厳かに過ぎていく
この厳かさが好きだ
人はもう飽きた
雲とか 風とか
唯一無二の出会いで満ちている
ロボットとも友達になれるよ

二月半ばはまだ冬の真ん中で
気温も一〇度以下の午後五時過ぎ
ふと 明るい
陽が伸びた 去年の暮の五時はもう夜だった
東京の話だ
ゆっくりゆっくり それを日に日にというのだろう
陽は伸び濃くなっていく
ぼくは日に日に痩せていく

考えるというより感じる日が多くなっていく
強い感情ではない
激怒も嫉妬も爆笑もない
小さな波動 微笑みよりも 諦めよりも 小さい
小さく 細い 鼓動
深い とても深い 誰もいない

気付いた時
まだ子宮の中だった
何に気付いたのだろうか 未だにわからない
海馬にまだ張り付いているだろうか

もうここには帰れない
もうここには帰らない


  車窓


地下鉄はいつの間にか地上を走っていた
車窓には冷たい青空が広がり
給料も上がらず物価高なのに高層ビルは笑っていた
痛いときには痛いと声をあげたほうがいいのだろう
自分は弱いと思っている人ほど社会的には強い
今日ぼくはドアを開けた
あちらこちらで
靴を履きドアを開ける音が
車窓を輝かせる


  小さな後ろ姿


子どもが右に左によろめきながら
登校している

太陽が爆発しすべてを焼き尽くした
灰となった心はまだ燻っている




自由詩 未定 Copyright 空丸 2021-06-29 22:32:16
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