月夜の夢
宣井龍人

果てしない天海
月は彷徨う
青白い光が染めて

時間の滴をまとい
徐に揺れる波間

海鳴りは語りかけ
吐息が寄り添う

砂浜にひざまずき
一粒一粒を愛でて

ふたりだけの砂の城
降り立つ月光の乱舞

見えぬ姿から零れる涙
触れられぬ姿を抱きしめて

遠く目覚めた戦き
深く閉じられた記憶
月夜の城は消えて


自由詩 月夜の夢 Copyright 宣井龍人 2021-06-17 23:10:29
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