忘却のパセリ
atsuchan69

飾りのパセリは、
最後まで皿にあった
涼しい夏の朝に、
君がはじめに運んだのは
5秒ビシソワーズ。
――トマトジュースと牛乳の、
かんたん冷製スープに、
ちょこっとだけ ふり掛けた
マジックソルトみたく、
ただ彩りの楽しさを
瞼の裏に 残して

君が去った後も
濃緑色のパセリは、
まだ 白い皿の上にあった
ええと、あれは一体‥‥
なんだったっけ? 
今はもう、
何を食べたのかも
まったく思い出せない
ただ パセリだけが、
記憶の中にある


自由詩 忘却のパセリ Copyright atsuchan69 2021-06-06 21:36:47
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