越冬
コーリャ
越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない
誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
いっぱいに広げて
湖面すれすれを横切るすがら
青空がまた広がっていくのをかんじる
そして僕ははなすというよりうたう
意味というより音のために
青空の高いところでは
強い風がふいて
僕は両手いっぱいに広げて
バランスをとる
減速し
翻り
加速する
加速するたび
僕の中で青空が広がる
そして僕は加速して
なにもいえなくなり
なにもきこえなくなる