越冬
コーリャ

越冬のことはなにもいえない
あれから僕の身体には青空が広がっていて
雲もない
なにもない

誰にもなにも
いいたくなくなってから
人の言葉が
まるで湖のようにきこえる
僕は両手を
いっぱいに広げて
湖面すれすれを横切るすがら
青空がまた広がっていくのをかんじる
そして僕ははなすというよりうたう
意味というより音のために

青空の高いところでは
強い風がふいて
僕は両手いっぱいに広げて
バランスをとる
減速し
翻り
加速する
加速するたび
僕の中で青空が広がる
そして僕は加速して
なにもいえなくなり
なにもきこえなくなる


自由詩 越冬 Copyright コーリャ 2021-05-30 08:49:09縦
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