ランプ
ひだかたけし

なにかを
忘れている
ようなこの夜に
なにかが
湧いて来る
ようなこの夜に
向かいの家の台所の
橙色のランプが点いて
それが仄かに懐かしい
光跡を辺りに散らしている

なにかを
忘れている
ようなこの夜に
なにかが
湧いて来る
ようなこの夜に
全ての記憶は透過され
私は橙色のランプを見ている

剥き出された肌をちりちりと
夜風が絶えず撫でていき
ランプの光は端正に
私の意識の底を打つ












自由詩 ランプ Copyright ひだかたけし 2021-05-24 20:35:03縦
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