料理で俳句⑱日野菜漬
SDGs

本日のお品書き~日野菜漬~


  白飯をうれしがらせる日野菜漬


 漬物の中で一番うまいと頑なに信じている日野菜漬だが、残念ながらあまり知られていない。「いい酒は旅をしない」というが「いい漬物も旅をしない」らしい。日野菜の主産地である滋賀と、それを加工する京都。この一府一県をなかなか出ない。こんなに何でも手に入る時代に、食いたければ来いというのか。悲しむべきか喜ぶべきか。

 日野菜というのはカブの一種だが細長い。長さ二十センチ、太いところで直径一センチ五ミリくらい。先へ行くほど細くなっていく。色は白いが、茎とつながる部分があざやかな紅紫色になっている。これを酢と塩、昆布などで漬け込む。味は苦い・酸っぱい・辛いが混然一体となり、根も葉も刻んだものに醬油と一味唐辛子をかけて白飯へ。三杯はいける。

 京都に出張の多かった会社員時代は新幹線に乗る前に、売店で買うことができたし、時間があれば錦小路の「桝吾」だったか、漬物の専門店で購入した。ネットで「西利」や「大安」であるにはあるが、価格が高く送料もばかにならないから(♪ギャラより高い交通費~by吉本芸人)買うことはない。百貨店の京都物産展もチャンスだが、このコロナ禍で延期つづき。日野菜漬はますます遠ざかる。

 ということで日野菜が手に入らなければ壬生菜にするかと、とてもとても日野菜の代替にはならないが、ときどきスーパーの京野菜コーナーで入手し、塩・昆布・鷹の爪を塩梅良く混ぜて、漬物に。重石はポカリスエットの二リットルのペットボトルで代用。これもうまい。

 思い出したが逗子銀座商店街におばあちゃんの店があって、間引いた細い大根を葉つきのまま五六本束にして塩だけで漬けたものを二百五十円で売っていたが、その店も閉まった。

 白飯にはTKGが幅を利かせ、漬物の将来が案じられる時代だが、私は「白飯にはHNZ」をどこまでも推していきますがな。


俳句 料理で俳句⑱日野菜漬 Copyright SDGs 2021-05-24 17:22:57
notebook Home 戻る