白い誕生日/即興ゴルコンダ(仮)投稿
こうだたけみ

百から一を引くとたちまち白になる。分刻みだったアポイントメントはことごとくキャンセルで、消せるペンで書いていたのに意外とまっさらにはならない手帳。筆圧が凸凹に残る四角い枠の隅に擦っても消えない文字がある。これを忘れるために、予定を組んだのになあ。せめて日記だけは黒く埋め尽くそうと今、こうしてペンを取っているわけだが。一言、「今日は何もなかった」と書くしかない気がしているから、口にペンを横様に咥えたまま頭を絞っている。

お隣の客はよく柿を食うらしい
目薬は二階からさせないでしょ
出た嘘も方便か誠になればなあ
度胸はなくとも愛嬌ならあり〼
うってもうたなくても案外響く

白い文字で彩る黒いモニター上
ささやかに刻んだお祝いの言葉
ん、いいかもしれない、これも


自由詩 白い誕生日/即興ゴルコンダ(仮)投稿 Copyright こうだたけみ 2021-04-20 21:13:28
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