眼場馬の流木
アラガイs


連れてきて5年は経つだろうか
当初から敷き詰めた砂を蹴散らしては小さな魚を追い廻す
我が物顔で水槽の中を暴れ廻っていたおまえも
わたしの姿を見つけてはじっと動かなくなる
大きく成長するのもはやかった
こちらをキョロキョロと嫌らしい眼場馬さん
そんなおまえも最近は置物の穴に閉じこもっていた

いじけて地球の砂を荒らして
    どこから来たのか  おまえは 
アフリカそれともアマゾン川
       親の顔がみてみたい 
 老齢なんだよ 最近餌を食べてるのか
おまえ    いったい、いつまで生きる気なんだ   

そう思いながらも幾年月は過ぎて
ふと水槽に眼をやれば横倒れの長い孤木が
小さな黒目を開いたまま動かない
  魚よ  死んだ、じゃない、ちゃんと死ねたんだな 
網で吸い上げたら悪臭がたちこめて   
 ローリエ一枚添えて、ティッシュに包んだよ







    


自由詩 眼場馬の流木 Copyright アラガイs 2021-04-10 03:06:18
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