春夢
ひだかたけし
もうすっかり春になりましたね
今日は風が強いです
咲いたばかりの桜の花が
ゆらゆら大きく揺らいでいます
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私は街を周回していた
人波物凄い雑踏だった
(流れに乗り遅れたら、
踏み潰されちまうよ)
帰りの井の頭線の改札に向かい
ようやく辿り着いたと思ったら
またすっかり外に出されてしまう
何度試しても内から外へ
街の人波に呑まれてしまう
そうしてぐるぐるしているうち
わたしはどんどん擦り減って
燃えかすのような自意識が
外部に裸で剥き出され
恐怖に震え佇立する
(宙空には
白銀の満月、煌々と浮かび)
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もうすっかり春になりましたね
今日は風が強いです
歩き始めたばかりの幼な子が
ゆらゆら必死に立っています