同窓
鵜飼千代子

詩集を出したばかりの頃
卒業後初めての同窓会があった

みんなそれぞれの世界で活躍していて
「詩集を上梓しました」と宣伝すべき立場と
疎ましく思われる現実とに混乱した

高1で同じクラスで、カナダに留学し、高3の時に1学年下に復学したサントリーの神部くんが、「還暦すぎたらみんな落ち着くよ」とトントンしてくれて、自分がパニクっていた事に気づいた

育った場所は
帰る場所は
立ち寄れる場所は
昔みたいに相手してくれるといいよね

普通に
おかえりー、すげーじゃん
新しいのここでも読ませてよ
事務所の縛りがあるなら新刊の紹介してよ
ってね

一緒に暮らしていたこと忘れてないよ


自由詩 同窓 Copyright 鵜飼千代子 2021-03-21 21:20:50
notebook Home 戻る  過去 未来