インスタントメッセージ
あらい

三日月の鍵爪を栞 微炭酸の蜜を拵える タイピングの錯覚
読みかけの本に溜息。少し癖のある彩を抑えた 薬指の小股まで
柔らかで蒼い壁面。舐めるように徘徊するもの

むしろ 虚ろ岩礁は 凪いだ海を
畳み 拓いた掌に やぐらを組んだ

誰も知らないウチに 閉じて固まった土塊。眼孔という
グロテスクなむしくい おちた果実 ちりばめてみる
出来上がるまで、しばしば 夢を描くよう 祈り願う
月光環と重なる 檻の加護
八重歯から短い毒を しめしめ 輝かせた星屑は消え往く
どこへ、
お宮参りの階段を。
彼方の為に結び 乍 あれはいつの蝶々
不必要にも白木蓮の首を拗じる。
開けた腰から肋骨に擬態した朽它が
はなびらのみわけもつかない、葬儀場の一角で
逃げ出してしまうのを 伝い始めた 参ツ編みとひとつにする。
そうして 大法螺吹きのおちょぼ口は
やっと 噛み砕かれ、ひとつとなって
めざめたころには キミは 妊娠線を飛び超えて
灯り始めた夜、うつろい初めた日の出のきざしに
憎しみまで 届かないよう翳を踏んで居る

ふみしめて要る、だけだった。
角が取れ円くなった母胎が、
らくに、おやすみになられて
堆積された流砂が勃起しただけだ
(永いときを旅する空壜、アノニマスの鷲)


自由詩 インスタントメッセージ Copyright あらい 2021-03-21 13:55:27
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