トロイメライ
Giovanni

3月 弥生 トロイメライ
春風 果てしなく 暖かい
坂の 彼方の 高台へと
ゆっくり 歩いていこう

月光チタンの夜を過ぎ
冷たい鈍色の夜を抜け
奈落と雪洞の夜を耐え
かねて
ぼくは
ひとり
何遍も何遍も
つぶやこうとする

さよならするしか なかったよ
心は錆びて 干乾びて
お別れするには よい時だ

悲しみの疫は
いつか
ぼくたちの
体ばかりでなく
心まで滅ぼしてしまいそうだ

だからこそ
3月 弥生 トロイメライ
春風 果てしなく 暖かい
坂の 彼方の 高台へと
ゆっくり 歩いていきたいのだ


自由詩 トロイメライ Copyright Giovanni 2021-03-14 11:01:41
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