あの日地面がおおきく揺れだしたから
こたきひろし

あの日地面がおおきく揺れだしたから
工場の高い建物さえしなりだしたんだ

工場内に積み上げられた製品がまたたく間に崩れだして
あっちこっちで悲鳴があがる

逃げなければ
俺は持ち場の非常口から逃亡はかったのに
二人作業していた一方のアオキさんが
何をトチクルイだしたのか
倒れようとしている資材を一生懸命
必死になって押さえ出してるのよ

ここにいたら死んじゃうと思った俺は
馬鹿はほっとけ
と思ったけれども
見殺して俺だけ逃げたら
一生後悔するからさ

何度も怒鳴ったのにさ
普段から真面目一徹のアオキさん
そのまんまなのよ

もうダメだこの人
って思ったその時に非常口が外から開けられて
 何やってんだお前たち!皆んな避難してるんだ!
上司の怒鳴り声にアオキさん直ぐに反応してさ
俺を構わず逃げ出したんだよ

なんだコイツって
思う暇もなく
俺も逃げ出したんだ

3.11
でもそこはフクシマじゃなくて
イバラキ
イバラキなんだけどさ


自由詩 あの日地面がおおきく揺れだしたから Copyright こたきひろし 2021-03-12 06:36:02
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