断章
新染因循


トルソの夕焼けに
切断された四肢の休息を
みるものはない

石理から拭きとられた水も
砂漠をこえ ひとをこえ
高低をのみほしてきた

砂時計はアシンメトリーである
あらゆる風と雲の断裂も、
だが どこかに きみのすがたは在る

ときおり 子午線をひいて
ひとはみな美しいとたたえる
そうして言葉は整えられる

白旗めいたインクのかすみが
てにをはを綴りはじめる
墓という墓に名が刻まれるよう

かさかさ枯葉はがなりたて
方法という方法のうらぶれる 夕焼けに
わたし は静かに嘲笑する






自由詩 断章 Copyright 新染因循 2021-02-26 17:08:01
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