熱砂
ひだかたけし

有刺鉄線をいじっていたら
異常にこんがらがって溶け始めた
俺の熱のせいか、指先は既に燃えていた

 閉じ込められたまま閉じ篭もったまま

砂漠に墜ちたプロペラ飛行機
赤いいきもの達が列をなす
奴らの格好の餌食だ
砂漠に墜ちて
奴らの縄張りに

)俺は独り爆発しそうだ
)おまえに逢いたかっただけなのに
)俺は独り破裂しそうだ
)おまえにー

むしゃむしゃ食べられる
溶けた有刺鉄線ごと
こんがらがって
砂漠の熱流だ
原初の熱だ
奔放なノイズが
貴様らを溶かして
歪み捻れたまま生き残る

 閉じ込められたまま閉じ篭もったまま

砂漠に墜ちたオンボロ飛行機
赤いいきもの達は今や黒焦げ
生の尻尾と角だけ俺が戴く
おまえへの土産物だ
もしも未だ
おまえが生きているのなら
俺の涙よりそっちが好きだろう

 閉じ込められたまま閉じ篭もっまま

この俺は 
奇妙に鋼鉄クリアな
この砂塵ノイズの群れの
一部になりたいだけなんだ

ひたすら疾走し乾き切って歯軋りし
必ず凍結した出口を見つけてやる!











自由詩 熱砂 Copyright ひだかたけし 2021-02-24 19:21:25縦
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