富士見
AB(なかほど)

京急のね
蒲田、平和島あたり通るころ
富士山が見える時があんのよ
そしたら何でもない車内で
あぁってじんわり沁みてくる
それが沁みてくんの

朝はもう乗ってるだけで
鬱になりそうなところ
青く晴れた向こう白い冠
知らずに
薄く声洩れてしまうんだけど
見てるのは俺だけなのかな

たまに
夕方に帰れた時に
そのシルエットに会えれば
ここまで生きてきたよって
そう呟いている
生きてきたよ って

帰る場所が判ってるのか
諦めてるのか
そんな俺たちがあふれてる時間
にさ





 


自由詩 富士見 Copyright AB(なかほど) 2021-01-29 17:30:13
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