手紙が飛んだこと。
水宮うみ


物心 コップの水が有限のようにも無限のようにも思った。



音なしで大人しいけど画面から騒々しさは想像できる。



歩くたび無数の宇宙を踏みつぶしている気がして、靴底の黒。



時が経ちきみのことばの背景がわたしの文字で埋められていった。



500年前と500光年先、どっちが遠い光景だろうか。



きみが好きだった季節は過ぎ去ったのにまた次の奇跡を待ってた。



あのときの自分の言葉が他者になり、いまの自分が話しかけてる。



寝る前に小説を読む。昼間よりあなたの声がはっきり聴こえる。



ふたりのふたつのひとみは外を向いてるのに内側も映していた。



月面にいるウサギはアイラブユーを「地球が青いね」と訳すかな。



そこはかとなく儚くて底のない明るい朝に靴をはきます。



人々のなかには人がいなかった 々がおなじ顔をしていた。



僕の目に映る世界しか知らなくて鳥の動きをぼんやり見てた。



待つことは得意じゃないからカップラーメンは1分で食べ始めるわ。



確かあの辺でこの本を読んだとき、この辺のページを読みました。



走っても、眠っても、手の端っこで日が落ちて始まる夢だった。



劣等生みたいな一等星をみた一等星みたいな劣等生。



張られてるネットの向こうにインターネットにないものを夢に見ていた。



きみが付けた傷口が何かをずっと喚いているから何も聞こえない。



何度でもひかりに会いに行くのだろう。無数の夜が綺麗だった日。



人工知能を研究する知能のことを想う人工知能。



電車の窓から見えていたあの川にいつか行ってバーベキューとかしたい。



「一章のお願い」「二章のお願い」と願い続けた登場人物。



あの人が心配して見に来てくれたことに、今になって気付いた。



衣食住 一角獣は移動中 衣装が住んだ自由帳たち。



昔観てたアニメのOP見ると純粋だった頃を思い出す。



ねる少し前に浮かんだ言い回しは眠りのなかへ眠ってしまった……。



あのときの諦めを抱き締めている ぼくより先に身体が泣いた。



飛び石のように言葉の上を移動して対岸へ向かうお話。



知らないということさえも知らなくて、きみに出会えてしあわせだった。



伝書鳩みたいに幸せの青い鳥みたいな手紙が飛んでいく。



泣いているときでもどこか他の星みたいに月が笑っていたの。



短歌 手紙が飛んだこと。 Copyright 水宮うみ 2021-01-27 16:04:12
notebook Home 戻る  過去 未来