勿忘草
トビラ

なくしたことさえ忘れてた
時計が引き出しの奥で
止まらずにずっと動いていたんだ

なんで
なんで
止まって
しまって
いなかったんだろう

ずっと
ずっと
動いていたんだろう

今、あの日とここが重なりあって
歪んだ境界線は
閉じたはずだったのに

泣きだしそうな感情あふれ
涙腺崩壊
止まれまぶたに

泣きたくないのに泣いた夜は
本当は泣きたい夜であって
涙腺と一緒に壊した
あの日に見失った時が動く

なんで
きづいてしまったんだろう
きづいたらもう
傷ついても
止まれないじゃないか

どうして
多面的な夢が乱反射
これじゃもう観覧者じゃいられない

壊れはじめた
動きはじめた
忘れることはもう諦めて

血管走る
羅針のふれた先の
薄明るい
空をたしかめ

幾千なんて
簡単に言わない
はみ出したっていいのに
なんで、僕は、忘れて、逃げて
それをよしとしていたんだ

最期まで燃やし尽くす
長距離走の発火回路だって
いいね


自由詩 勿忘草 Copyright トビラ 2021-01-19 13:40:55
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