私の朝
由比良 倖

眼の底で、美しい欠片が散って
誰もここには入ってこない
夕やけに焦がれるのも、今日でおしまい
昨日、すべての朝は終わった

とろとろと私の皮膚を空にくべて
誰もいない土地に巡り来た
――画集とパンの酵母の
甘い匂いを嗅いでいる

私はただ生きている
君は、私の名前を呼ぶけれど
それは私ではない
私はただ、ここに生きている、

眼の底で、虹の火花が揺れる
誰もここには、入ってこない
郵便局員は加速度を届けてくれるけれど
もう、私の海に朝は来ない

昨日、すべての朝は終わった。


自由詩 私の朝 Copyright 由比良 倖 2021-01-15 06:12:23
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