もう一つあれば
こたきひろし

暗い部屋の中に閉じこもる事で安らぎを覚える事も少なからずあった
眩しい光の方が痛く感じてしまう自分がいたりした

人はどう生きるべきか
人はどうあるべきか
なんて教科書いっぱいに学生鞄に詰めて歩いて行ったら
その重みに耐えられる筈はなかった


はやく大人になりたいと言う気持ちと
反してなりたくないと言う思いが複雑に絡みあった少年期

初めて恋慕した異性の存在は
少年期の性的な興奮と快感の対象からはどうしても切り離したかった
繋いでしまう自分もいて苦しくなった

体と心のアンバランス

未成熟がもたらす悲痛な感情には
もう一つだけ何かが足らなかった


自由詩 もう一つあれば Copyright こたきひろし 2021-01-15 05:46:09
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