展示館にて
道草次郎

いかなる形をとったとしてもそれはその通り
そのものの道をゆくだけだろう

レプリカの矢じりの銘板には
そう刻まれていた


球体の表面だから
安心してしまう
とても古くて
そして大きいからそれは
ふりむく度に
さらにおおきさを増す

鮫の歯の化石は
そう耳打ちをした


空が空である限りその限りにおいて
どこまでも広がっているというのは美しい

原人の眼差しが
安物の背景画の空に
勁く
弓を引いていた


自由詩 展示館にて Copyright 道草次郎 2021-01-14 22:57:27
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