原宿の落ち葉
番田 

僕は時々ぼんやりと何かを見つめていることがある。代々木公園を訪れたときに、そこで、すでに失われた落ち葉の上に立ち尽くしながら。初夏の、遥か遠くに広がる木々を見つめながら。秋のそこからすでに失われた新緑の木々の匂いの中。僕は時々売店で缶コーヒーを買って、目の前を通り過ぎるものたちを見ていた。ベンチに座り込んで家族や、友人同士の自転車をこいでいる姿を見ている、僕は、そして、一人だった。ここに初めてきたのはいつだっただろうと、でも、そこから歩き出しながら。二人乗りの自転車に追い越された僕は、色々な感覚を手に、考えては、歩いていた。街を歩いていた僕は、でも、そして、そこにいた。僕は新宿方面へ出る方法もあったが、多くは、原宿方面を特に歩きまわっていた。確かな目的地は、特に、でも、どこにも無かった。


散文(批評随筆小説等) 原宿の落ち葉 Copyright 番田  2021-01-08 01:17:44
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