慈雨と沐雨
道草次郎

雨のように大地が
海の端に
こぼれていく

濃霧を裏返すと
ヤドカリの心臓が
宝石になる

渡り鳥たちは
スクリーンのなか
黒色こくしょくの雨に打たれる

年老いた青空は
十二単じゅうにひとえの感情で
虹を胚胎し

逝き急ぐ水は
断崖のランス
ポセイドンの槍

彗星のように
さめながら
永遠とわは横なぐりのあめ


自由詩 慈雨と沐雨 Copyright 道草次郎 2021-01-04 18:22:04
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