永遠を頭上へ
中田満帆




 指を、
 むすんで、
 膝を、
 ひらいて、
 まだ足りないと、
 いやいやをする子供ら
 頭のうえにつくった輪っかに
 映像がひらく
 神になれなかったもののために、
 洗礼盤をうち毀すひとり農夫
 (わたしは手斧にいったんだ、おまえにできるのはそれだけのことと)
 そしていっぴきの犬が
 雨とかぜに荒らされた、
 土から土へと、
 移ろい、
 そして眼をつむって、
 永遠を頭上へ、
 据える
 
 手を、
 たたんで
 頭を、
 閉じて、
 まだ語らないと、
 いやいやをする大人たち
 夢の隠語にあきたらず、
 永遠の隠語を求め、
 マーケットの棚から、
 映像をギって来る
 ひとになれなかったけもののために、
 血の臭う室のかたすみで、
 ひとりの男が、
 さらに弱いけものを屠っては、
 進入禁止をやぶる
 (おれはおれにいったんだ、おれにできるのはそれだけのことと)
 町から町へと、
 移ろい、
 そして閉ざした心が贋物だったというだけの理由で、
 腕をふって、野性を謳い、
 永遠を頭上へ、
 かかげる。



自由詩 永遠を頭上へ Copyright 中田満帆 2020-12-17 18:14:39
notebook Home 戻る