白亜紀の弁当
道草次郎

弁当を開けると
見たことも無い空が入っていた
妙に縁どりのギラつく雲と
エメラルド・グリーンの空が一つだけ
箸で一口くちに運ぶと
ジャリっと歯に何かが当たった
たまらず吐き出すと
プテラノドンが一匹転がり出る
うーんどおりで
なんだか古い味がすると思ったよ
ためしに空を裏返してみようか
そら
やっぱりそうだ
ゼンマイみたいな裸子植物のおひたしと
ごま塩のクレーターもある
クワバラクワバラ
どうもこれは食べられたものじゃ無さそうだ
弁当にふたをして
近所のコンビニにおにぎりを買いに行く
店員はいつものお気に入りの
恐竜人間(ディノサウロイド)の
可愛い女の子だ
ぼくは
相も変わらず
そのもつれ合う触手に
恋心の発光を隠せない



自由詩 白亜紀の弁当 Copyright 道草次郎 2020-12-01 20:34:33
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