Raman (分光)
アラガイs


月の灯り陽の光り

誰もいない銀の馬車 

不幸など誰が予測できるだろう

誰も予測できないから不幸ではないのか

あの人たちも

傍らで見覚えのない家族が啜り泣いている

奪われたのは肉体かそれとも

輝きを放つ魂なのか

死が迷光の扉を開けて近づいてくる

誰もが予感を放棄する

突然の雷鳴に戦いている

無数の影が背中を割った

囁くのはいつも鳥たちの会話

季節に咲く花々よ幸いか樹の枝は

飾り気のない白い壁が

にぎやかさに時を弾ませる

誰だろう 枕元から小さな息がゆれた

長い髪の毛のほつれ

少女が近くにいるらしい

そして動かないわたしの指先に縫いぐるみを押しあてた

 ( だめよ こちらにいらっしゃい )

声を殺して若い母親は叫んだ

走り去る音が響きながら消えた

ぐるぐるとあたまの中を駆け巡る

 unknown ひとすじに涙はこぼれ

幼いころのわたしが

いま永遠の孤独を感じている 






自由詩 Raman (分光) Copyright アラガイs 2020-11-24 07:05:24縦
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