十二月は踊るように繋ぎ、傾くように綴る
かんな

いっぴきの魚がキラッと
跳ねていく月の
一日には海辺が朱色に染まり
水平線で傾げる夕日に向かって
あなたへ告白の橋を掛ける

物語りが夜半の寝息に
幕を下ろた七日に
閉め忘れた扉をノックすると
たちまち夢は
ぬいぐるみのリボンに幸せの魔法をかける

庭で育ったラズベリーの棘が
女の子の小指に傷をつけた十四日は
窓ぎわでカーテンに包まり
いつかは愛してくれる
という祈りを地面に投げつけるしかない

透明と白とグレーを行き来する二十一日を
染めるように歩くから
歩調とあなたとキスを行き来しても
辿り着けない明日を
引き寄せるまで暗がりで抱き合いたい

ウィンドウの向こうはきらきらした二十八日で
売れ残りの愛だけ
値引きシールが貼られたみたいに
価値とはなんて検索すると
スマートフォンの向こう側へ行ける

三十一日は踊るように
誰も彼もやさしさもさみしさも繋ぐから
あの家の屋根みたいに
少しだけ傾くように
わたしは帰りたいと綴る


自由詩 十二月は踊るように繋ぎ、傾くように綴る Copyright かんな 2020-11-15 21:16:10
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