雫-死図
すいせい


いつか
光さすみずそこへ
おち


かがみ
結わえた髪を
ほどく月 (とおく


斜線に
紛れた趾へと
手をひかれて


風はしる
 (ひとすじの雪をのこして


うつむくひとは
滑らしたつま先を沈め
数える
傾いた薬瓶
群青の粉を
まいたような夜と(とおく


手をひかれて
書かれたト書きをうまく
読めないでいる
暗く
かすれた消印


灰にまみれたカーテン
編みかけのレース
剥がれおちた靴底
「ふかく息を
吸い込んで


触れれば 「波紋する
溶けたように消えてしまう」


くちびるの
動きだけ真似て
片肢のはくてふがないている
喉のおくに押し込むように
火を走らせて


うえへとうえへと
削る
固形になった呼吸


そぶりはそのまま
演じるくちもとに
零れる
健やかに


みつけだした
図形を一本ずつ
指でたどり
血をたらす


 (おくる
もういいかい
貼りついた
レースの幽霊に
哀しげに眉をまげる


いつか
光さすみずそこへ
おち
出逢う
おさなごの
その
半解凍のえみ
 火を飲み込んだ
 はくてふのえみ




自由詩 雫-死図 Copyright すいせい 2020-11-14 14:36:10
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