コトバの剣
服部 剛

テレビを点けたら
そこはアメリカ合衆国
ホワイトハウス前 

バイデン推しの国民と
トランプ推しの国民が
まっ二つに入り乱れ 
ポリスマン達は眉間みけんに皺を寄せて
にらみを効かせる

この娑婆しゃば
あの日
誰もが おぎゃあ と生まれてきた以上
時に闘いは避けられぬ、のか
僕等は傷つけ合う為に生きる、のか
なんてホザけば
ほらもう、この爪が 
誰かの心を引っ掻いている

今日だってわたくしは
この朗読会のリングで
コトバを愛する者たちと
コトバを通して闘っている

詩人という名の
役者達も 
たった独りの時間には
ノートの白紙に
無数の言葉を産卵する

うようよと
うようようよよ
うようよよ
白紙に羅列されてゆく言葉の卵
うようよと
うようようよよ
うようよよ
ホワイトハウス前のアメリカ人
うようよと
うようようよよ
うようよよ
Go to 旅先の日本人ウィズコロナ

詩人はノートの空白に
行き場のない蟻の群衆を
視るでしょう 

この手に握るペンが
光るつるぎでありますように

人の血を流す為の剣
ではなく 

今、こうして
朗読者として立つ私から 
あなたへ そっと告白する
日々の証として   






自由詩 コトバの剣 Copyright 服部 剛 2020-11-12 00:01:48
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