本当なら入院してるのお前の方だろ
板谷みきょう

小学校の時
転校してきたボクは
ヒョロヒョロの
末成りの青瓢箪だった

クラスで仲間外れに
されない為に
必死でお道化ることを
覚えて剽軽者になる道を
選んだんだ

タッカは
スポーツ万能で
背は高くないけれど

山椒は小粒で
ぴりりと辛い

そんな男子だった

運動ができるということは
女の子に
モテルということだ

勉強ができたり
剽軽が注目されて
人気者になれるのは
小学校時代で
終わってしまう

中学に入っても
スポーツ万能の人気は
同じだった

タッカは
背が低いのに
バスケット部で
大活躍して

ボクは
兄の影響で
合唱部に入った

最初は
「君がモトー君の弟かい?」と
注目された
けど
それだけだった

タッカは
早くに父親を亡くし
母親との暮らしを守る為に
学校を中退し
働き始めて
接点は無くなっていた

歌うことだけでは
暮らしていけない現実に
生活の為
精神病院で看護師として
働き始めた頃

閉鎖病棟で
タッカと
再会したのだった


自由詩 本当なら入院してるのお前の方だろ Copyright 板谷みきょう 2020-11-08 00:54:12
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