分解する
道草次郎

細胞壁には鍵を掛け
咎の走幅跳にいそいそと臨み
歳月に鞣された呼吸と律動をたくわえ
中空はどこまでもうつくしく
しかしその全貌は中空の為に須くそれを欠き
一朶の有意の他者を穹に飼い
詰まる所の精神優位主義的な餌を与え
暗がりでは星に呟き
毎朝復活する乾涸び果てたマリオネットの幼体を
軌条に寝かしつけてはよしとする
既にして骸
立って居てしまうのは
生存の海が持つ浮力の控訴にちがいなく
附記され
区分され
なにものかへと顔面神経それを貶め
他人行儀な愛撫を
頭蓋内ビオトープへ唾棄する
肩には虜囚の霊が

笹舟を
みつけるそして指を
切る
つたう青いろの砒素
喪われた赤色のネガティヴ
私はそういう
泪袋の
化膿変転体である







自由詩 分解する Copyright 道草次郎 2020-11-06 09:11:41縦
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