詩人にはなれないから
こたきひろし

往路で道に迷いだしているんですね
それは誰にでもある事です

でも
通り過ぎた道は戻れない
有効な未来への地図はどこにも見当たらない
ですよね

幸福の鐘はいつだって遥か彼方で鳴っているだけ
耳障りなだけでしょうよ
 こっちへおいで手の鳴る方へ
をされてるようで

往路で道に迷いだしているんですね
目的の場所はどの辺りですか

それを探り当てる
磁石持ってませんね

この世界に太陽があるから
日向と陰が生まれるんでしょう

太陽だって傾いて来ますよ
地平線
山の向こう
水平線の彼方へと沈んでいくんですよ

周りは黄昏て暗くなっていって
心細くなっていくんでしょう

そしたら誰だって帰りたくなるんじゃないのかな
明かりの灯る家に
それとも
自ら明かりを灯す家に

出迎えてくれる人がいたり
誰もいなかったり

孤独から解放されたり
そのまま延長したり

人それぞれ帰る家に
帰りたいでしょう

往路で道に迷いだしているんですね
終点迄は

どのくらいでしょうか


自由詩 詩人にはなれないから Copyright こたきひろし 2020-11-01 08:49:20
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