神崎橋
ガト

遠くに見える鉄橋
電車が夜の川を渡る

橋の向こうに
工場の煙突があって
紫色の煙を吐いていた

光が川面に映って
水の上を滑っていく

それは
寓話の挿絵のように見えた

もとは他人だもの

そう言い聞かせて
知らないあなたを
光の中に探した

夢を見ているような
ぼんやりした夜

私を思い出すことがあるか
一度だけ聞きたい


自由詩 神崎橋 Copyright ガト 2020-10-31 03:28:24
notebook Home 戻る  過去 未来