パトス
星 ゆり


フルカラーで発火した
みずみずしい決意を
まなうらに思い浮かべ、
テトリスの要領で
ふりかえらず、
言葉と和解しろ


ふりしきる利他行為の中で
比喩に住まわせる
あなたのひとちぎりの赤さ、
はっきりと
暴力より熱いやさしいさであったはずだ


火を消化し続ける水の
ひかりの引きずりに
ゆっくりころされなさい


かびくさい痛みで、感応が耳を生やす


体と向かい合わせの言葉に
命題はいらない
線路の置石で、愛された嘘と
一緒に
脱線してしまえたら
野放しの韻律に生まれ変わるものです


あなたのゆびさきに、種子
こっちにおいで
とは歌いません
小さくくわわる、さびしさの余波で
海もつくれる


あふれるくらい、つよくふるえたら
かかげなさい


真っ赤な美しさに突き立てられた
うぶごえをあやしながら





自由詩 パトス Copyright 星 ゆり 2020-10-29 21:55:15縦
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