老い老い
秋也

ときおり夕焼けが逃げていくように
あの子が駆け出し
「明日、また遊ぼう」と笑顔で手をバイバイさせる
「おう、絶対な」って即答し
公園と夕暮れが終わるはず

シーソー、ブランコ、すべり台
褪せたベンチ
ポツンと座るたまに見かけたおじさんはどこに帰るのだろう

はて
あの時はいつなのだろう
あの楽しい時はいつだったのか

頭の靄の中で再生される今
ふいに涙を流し
「忘れるものか」と魔法のようにつぶやく
大丈夫
私の人生の夕焼けはまだ始まったばかりなのだから
怖い怖い夜がこようとも

「お母さん、ぼく一人でトイレ行けるようになったよ」











自由詩 老い老い Copyright 秋也 2020-10-29 21:30:27
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