いつからそこにいたのだろう
Lucy

線路の脇の赤茶けた砕石の荒野
そこに芽吹いてしまったジシバリ
細長い茎のてっぺんに
ちいさいタンポポに似た花を掲げ

電車が来れば車輛の下に潜り込むほどレールに近いのに
倒れずに
ふらふら風に揺れている
砕石の層の下の土にまで
まっすぐに根を下ろしたのだ

こんなところに芽吹いたことを
嘆いただろうか
それとも喜んだだろうか
意を決してここに立つことを
自ら選んだのであろうか
目立たないから抜かれずに済んでいるのか
それとも心優しい保線係がわざと抜かずに見逃したのか

雨にも
照り付ける陽射しにも
嬉しがったり
憂いたりして
うつろう季節に身を委ねている
一本の野草

か細い命の豊かさが
黄色い花を揺らしている


自由詩 いつからそこにいたのだろう Copyright Lucy 2020-10-15 20:50:38縦
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