にくじう
田中修子

ふわふわ
ふわわん ふわりんりん あはは
くすぐったいよう-

夏の温度がさがって ほら
クッキリした青い夏のうしろ姿は 日焼けした子たちの笑い声
あの眩しい光にあたりながら歩いたんだね走ったんだね たくさん ね
私の膝あたりのちんまい子から そう
これから恋をしたり したいこと探していく 若い子たちの
こんがり

いきぐるしかったなつかしさがめのうら うららかであります

豚ばら肉をヒノキのまな板に平らかにおいていく
まな板ね
世田谷のぼろ市で威勢のいいおっちゃんから買ったの
洗ったししとう
えのきだけは石づきを落として 割いておく
で、ししとうとえのきだけを豚ばら肉で巻きながら

鉄のフライパンを中火で熱しておく ごま油をたらり
B級品を安く買ったのだけど
もはやすっかりどこが悪かったのかも忘れて活躍中です

豚ばら肉で巻きあがったのを、巻き始めたとこを下にして敷き詰めて
ちょっと生姜焼きも食べたかったから
えいやあっ
生姜のすりおろしもパパっとかけちゃう
塩もふっちゃう胡椒もふっちゃう

じうじうじうじう じうじうじうじう

豚肉ですから赤いとこ残しちゃだめですよ
ほとんど焼けたと思っても油断大敵だから
醤油を細うく ひとまわし
いちばんちっさい火にして
ガラスブタして蒸し焼き わあ ここにもブタさん
(そういや、今日は使わないけど、オトシブタさんもいる)

鍋の下の青い火

にくじう
じゃなかった
澄んだ肉汁

少し焦げてきた醤油のにおいが躍ったら

夏の終わりの夕ごはん


自由詩 にくじう Copyright 田中修子 2020-09-05 16:48:40縦
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