アクリル板の向こう側
花形新次
テレビ局の用意した
全く意味のない
アクリル板で
隔てられながら
にこやかに振る舞う
タレント連中は
仕事とは言え
俺は一体何やってんのか
と思ったりしねえのかね
アクリル板に微かに映る自分を見て
悲しくなったりしないのかね
終わった瞬間
アクリル板から外れて
「お疲れ様でした」って
挨拶してんだろ
一から十まで
この調子で
誰も何にも言わない
世の中って
コロナ以前に終わっていると思う
そうだよ
終わっているんだよ
自由詩
アクリル板の向こう側
Copyright
花形新次
2020-08-23 18:41:42