フラグメンツ No.121~150
AB(なかほど)
121
で、あなたはどうして
あなたの存在を否定しているのですか
私は信じています
122
あの人の心の隙間に繋がりたがって
ゆうなんぎいのいとの
そよとばかりに
123
今
静かに
散っている
124
ニャー(第五中で教えるけん、後悔してもしらんばい)
ニャー(しらんばい)
ニャアアアアアアアアア(しらんばあああああああああい)
125
今度は僕が採りに行こうと決めたのに
あのミンナ草のある場所さえも
もう探せない
126
波の音は おーい って
波の音が おーい って
小舟の陰では カサカサ って
127
押し入れから炬燵を引っ張り出す
頬っぺの紅く染まった君の顔が浮かぶたび
鼻をかんでばかりもいられないので
128
君は今頃プレアデス
その軌道をなぞっても
僕は駅前のむらさき止まり
129
あのなだらかな坂を降り
UNION Bldg. の旅行会社へと向かった時と
同じはずではないのだ
130
らいららいといって
ぼくもとっぷりくれよう
とっぷりと
131
橋を渡るともうここは歓楽街ではあありませ
んよ。と週末の静寂。身を委ねる場所は今日
も見つからない。
132
休日の陽射しがとても穏やかでも
彼女達の図鑑に
僕らの居場所はない
133
見上げると母の傘
僕は眩しくて
笑ってしまった
134
ふんわりロケットを発射する
それはあまりにもゆっくりと
静かなのだけれど
135
それが君の心を優しく包み込むだろう
なんて思わない
共鳴する前に胸を抑えて
136
どこかでこつん
と音がするのを待っている
こころはころころ
137
戻ってこない
(もちろん僕の彼女のことではなくて
かりふぉるにあおじさんのこと)
138
もうすぐ春ですね
と応えるんだろうね
そんなキスですが
139
うるま
うるま
はじまりのくにへ
140
カラカラリンと卒園式
はじめてのさよならは
カルピスの味
141
ときどきあたしも
ママ
ってつぶやく
142
もう、いいのですよ
と言うのが僕の仕事
なのだけれど
143
それはほんとにあなたのことばなのですか。
目を閉じれば、月がのぼり、星が降って、
朝日に消えてゆく、すべてのことばは。
144
もう帰るよって
Tokyo Tokyo
Bye Bye Bye
145
きれいだったんやろなあ
と
毎年三度後悔している
146
心がことばを超えられないと
うつむいてみる
それが林檎のように沈んでゆく
147
空から降りてくるものが見えても
それを今でも
噛み砕いている
148
と
夢は見ない
(という夢を見る)
149
とりあえず哭いておく
ねこみみをはずした君には
聞こえはしない声で
150
わかったよ
きれいだよ
君の心
自由詩
フラグメンツ No.121~150
Copyright
AB(なかほど)
2020-08-16 18:02:13