淋しい金魚
千波 一也
淋しい金魚は
ひらひら、きれい
冷たい水の
いちばん冷たいところを
その身に負った
見事な絵の具で
ぬくめて渡る
淋しい金魚は
なんにも言わない
わたしにわかる言葉など
ひとつも放らず
ただ美しく
黙って
涼を縫ってゆく
自由詩
淋しい金魚
Copyright
千波 一也
2020-08-16 12:58:22