白馬
ひだかたけし

雨に
濡れる
緑の丘を
白馬たちが
次から次へと
走り去っていく

その響き また その響き
凄まじく獰猛で限りなく繊細で
全ての白馬達が視界から消えた後
深く異様な沈黙が この界に充ちる

その時、

この界は巨大な鏡として聳え立ち
眩しい光の乱反射の中ウゴメク、
諸々の存在達が光の余韻に内から
酔い集い鏡を叩き割り出す外へ
どうにも焦れ憧れ戦慄しつつ

死と生の界の境界越え
絶えず変容繰り返す
あの界の楽音に今
接岸する高揚感
思考に貫かれ
透徹の極み
対の実像、
幻退け
一音、
お前に問い掛けるのだ
哀しみも怒りも喜びも
体験し切ったお前という
生き諦めない独り愚かな魂に
未だ情欲だけは執着する修羅に

[真に生き繋がる愛とは何のことか?]
[真に生き繋がる愛を生きてきたか?]

 と。


自由詩 白馬 Copyright ひだかたけし 2020-08-14 22:11:05
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