フラグメンツ カタログNo.61~90
AB(なかほど)



61
息子よおれらはどうやら
よっぽどのおぶたよしみたいだぞ
せめて最後に唄うぞ


62
ずるいよ
まだ帰れない
まだ、帰れない


63
あの頃のようにこたえてくれないかい
夕焼けのコメットさん
日暮れが近いよ


64
おっぱい大好きいって言ってるのも
懐かしかったからだよ
もちろんそれだけじゃないけど


65
けど、そのまま
そのまま左のポケットに押し込むと
そこから夕焼けが


66
ねえ、キスして、ふと
ほなおやすみ、もっぺんおやすみ
そ、そ、そとして、なあん


66
忘れていいかい夕焼けのチケットさん
すっかり色も
褪せてしまったのだから


67
別にそうやって作ってくれとは
言ってませんよ
ただ、世の中にはそういうものもあるという


68
ほら
夕焼けのカレットさん
まだここんとこにも隙間が


69
できれば 
僕らひとり一人が 愛すべき誰かにとって
ニライ・カナイでありますように


70
僕らが生きる巡回水槽の中で
君と僕が生きる巡回水槽の中で
止まってしまったら終わりなので


71
彼女自身はそのrの発音で
僕がまいってしまうものと信じている
今日もバスルームから変わらない君の r


72
不器用に生きている君の笑顔が好きでたま
らない僕は、なおのこと不器用なんだろう。
そんな日々で幸せを数えてゆきたい。


73
横向きのカレットをひとつ
あなたの声で
夕焼けの色を差しこんでください


74
ぼやくことが癖になっても
振り返れば置き去りの夢が
今でも僕に笑いかけている


75
想像に限界はない
と戸渡教授(実験力学)が言いました、たぶん
すなはち実行(想像)


76
探しものなんか無くてもいいと
何かを思い出すように
振り返りながら


77
裸電球の熱は変わってなかった
そんなことで
たったそれだけのことで


78
僕はいつでも
心のこのへんのとこを開けて
待ってるよ


79
富める大地の国の平均寿命が
40歳に満たない
子供達の瞳は輝いている


80
君を思い出せないうちに
最後の一枚が散った
ので(という 嘘)


81
でも、いつもえへら笑いの僕(たぶんニッポンジン)だって
魂なんかあげないよ
明日からの散歩道を探さなきゃ


82
僕らの住む街にそっと置いてみた
溶けてしまうのは
明日かもしれない


83
故意に忘れ物をしていこう
と決めた夜
月の夜 帰る


84
ざあ、と
雨ばかりの似合うこの町も
不器用ですがとても綺麗です


85
虹のかかるころ
夕ご飯の支度ができた
台所の窓


86
僕の港は
ここなんだ
と言い聞かせた


87
我、生したる縁ぬ島
 アンシェー
   マタヤー サイ


88
きみ のこと
ろくがつ だけが
かすんで る


89
約束
と言いながら弦を張り替えている
とか


90
てんかわの そこ
うたたねの ねこ
ぷはー








自由詩 フラグメンツ カタログNo.61~90 Copyright AB(なかほど) 2020-08-11 19:14:16
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