まどさん
道草次郎

泥濘の
市井で
こってんこてんに
なって
ずぅーんずぅーんと
沈むような
どす黒い
不吉なわた雲のような
詩や
げいじゅつや
エンタメが
その
一切の
精彩を欠くような


そんな
どうしようもない
日に
あなたの
声は
聴こえてくる

いわなかったことは
いったことの
たいがい いつも
なんばいかだ


もう
いないん
ですね

もっとも
はじめから
いたようには
感じられ
なかったけれど

幾夜となく
本棚の前で
あなたに
流れついた筏でした
あなたは
そんな筏に
乗ってくれる
ふつうの
やさしいかみさまでした

あなたの評は
風やたんぽぽのしごとです

あなたの
ひらがなのような
さみしさ
あれはあなたの抱えた宇宙でしたか
それとも
あれは
こどもたちにみせた
お楽しみ会の
すてきな
手品だったので
しょうか

どうか、教えてください
まど・みちおさん






自由詩 まどさん Copyright 道草次郎 2020-08-09 16:05:53縦
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