花の降る夜に
青色銀河団

初恋をついばむ小鳥に啄まれたとこがいつまでたっても甘い


祖父のつくったハーモニカはなつかしい波の音がするカモメも鳴くし


泣き虫の泣き声で孕んだ空気が夏の青と白に融けてゆく


しましまはいつも静かに笑ってるいつも木漏れ日に照らされてる


夕暮れにどこかで蜂が飛んでいるどこかで蜂が飛んでいる、ただ


あなたからもっとも遠い星のひかりとしてのわたしの涙について


やわらかな夜の砂場に染みてゆく雨つぶのような夢の散りあと


ゆびさきのきれいな動きが好きだからあなたのそらの流れ星となる


かなしみを優しさに変える人たちがシルクハットをとりお辞儀をする


花の降るやさしい夜に ぼくたちは膝を抱えて夜明けを待った


はぜるとき小さな虹が架かってくひとつひとつのポップコーンに


夕焼けの破片で傷つけあってまた手をつないだね あのときの僕ら


ゆめの言葉にほだされてぼくたちは青いソルベの夏に融けゆく


これまではかなしみだったものたちが燕になって飛んでゆく朝


真っ白なシーツを前に佇むと我が内なる兎が目覚める



短歌 花の降る夜に Copyright 青色銀河団 2020-08-08 15:37:36
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