わからないことばかりなので
滝本政博

あなたのスカートの中で暮している
というのは比喩だが
すべてはメタファーである 
だが何の?
わたしの放った鳩があなたの胸まで飛んでゆき
白い花を咲かせる
理解するのではなく到達する試み 

そこにいるのですか
あの日 夜になっても探してくれたあなた
わたしも探していたのです
雨が何もかもを濡らしてゆく
流されてゆくだけの感情があれば
また感情が戻ってくるのであれば
あなたの腕のなかでどのような雨も心地よかった
雨の音を聴いていると
血管のなかを幸福の種が巡るようだ

あなたが触ってくれる時
どんな顔をしていいのかわからない
明け方までの遠い距離
鐘は鳴らず天使たちは合唱しない
二人の吐息だけがそこにある
抱き合って切れ切れの眠りを眠る
あなたとわたしは千にも分断されて
朝が来るのを遠くに引き延ばす
何度も目覚めては抱きしめ合う


自由詩 わからないことばかりなので Copyright 滝本政博 2020-08-01 19:11:40縦
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