誰もいない夏
青色銀河団

ラムネ工場で作られたビー玉にあの夏の日が閉じ込められてる


初恋をついばむ小鳥についばまれたとこがいつまでたっても甘い


遠くまでちいさな泡がのぼるからおそらく空に溺れているのだ


走っても寝転んでも星に濡れないための星のレインコート


青空はさかさまに透けたみずうみで向こうにしたらこちら側が空


ぼんやりと生まれてきたのですべての窓から白い鳩がとんでいった


あっち逃げろと散らばった子供らが元いた場所の影の暖かさ


これ以上愛しあっても淋しさに傷つくだけさ牙もつ少女よ


さみしい色の日曜はひとりでするお留守番、丘に風が吹いてる


濡れ髪のつむぎ裸足でベランダにち青き夜明けを旅をする


屋上ではためいた旗にくるまって着ぐるみ少女はすやすや眠る


アンドロメダに消えてゆく月光が透きとおって誰もいない夏


サンダルの少女ツユクサに足濡らし天上の銀河と交信し


少女には聴こえる終わりの約束愛とはいつだってゆらぐもの


永遠に廻り死ぬまで降りれない地球は巨大な観覧車


青春と書かれたシャツ着て土砂降りに傘もささずに歩いてゆくひと


透きとおる宝石の空の七月へ午睡の意識は飛ばされて


永遠にきみはハローと笑いつつ世界はゆっくり未来になって


足音が僕たちを追い越してゆく駅からわかれてゆく未来へ




短歌 誰もいない夏 Copyright 青色銀河団 2020-07-30 14:47:42縦
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