無題
朧月夜

こかげ、こかげ、
あのゆらゆらと、
くろい、
いいえ、
きっと、ダークブラウンやモスグリーンの。

前線と前線が衝突する、
だから、
あたまが重いよ。
どこへもいくことができないと、
そんな気がしながら。

こかげ、こかげ、
あのゆらゆらと、
くらい、
いいえ、
きっと、色相を落とした茶色や緑色の……色の。

とどかない想いはとどきましたか。
そこは、
いきばしょのない、
いくところのない者たちの、
たまりば。

そこへとわたしもつれていって、と。
そこで、
たゆたって、
最初の想いのように、
今をわすれて……。

憂鬱と焦慮が衝突する、
だから、
こんなにも、こころは苦しくて、
吐いてしまいそうなくらいに、
梅雨の晴れ間はまぶしくて、

まるで、ひまわりのようね、
って、あのひとはいった。
あのひとはじぶん以外のすべてをわすれて、
それでもわすれきれないで、
まるでひまわりのようね、って。

とどかない想いはもう、
とどかないのです、
とどかないことを誰かが見届けたから……。
きっと安心して、
とどかない想いとして眠りにつくのでしょう。

こかげ、
こかげ、
あのゆらゆらと、
わたしはそこにいないかのように、
誰も観ていないかのように……ゆらゆらして。


自由詩 無題 Copyright 朧月夜 2020-07-20 19:27:53
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