わたしたちの告白
星染

過ごす時間に一つ一つ、ふせんを挟んで名前をつけて、たまに見返さないと思い出せない記憶の塊、あなたは、わたしのことを愛せていたのかなわたしは、あなたのことを愛していたのかな 教えてくれるかな、証明の数式、原稿用紙の反省文、暗記項目、言えるかな、わたしたちの、わたしたちの告白

作った映画のエンドロールに名前が載らないことを、ずっと気にしていたあの子も、一度は屋上に、夜空にひらめく踏切の赤い光に、生白くひかる錠剤の眩しさに、夢を見たことがあったのね 回した腕が震えていたこと、太腿の赤い傷のこと あなたは、私が憶えているから安心して、全てを忘れていいんだよ

マグカップを割っていつも思い出すあなたの顔がこどものようで好きだったから 足元に散らばる象牙色の破片を血を流しながら食べた みんなに否定されるあなたが、それだけで好きよ 好きよ、血まみれの愛を、わかって下さい こわい夢をみて、わたしにしがみついてくれたらいいのに、こどもみたいにずっとしていて 何も知らないでいて

死神がわたしたちを逆さ吊りで眺めてわらっている

あなたと二人で決めたルール、それさえ守れない、下手な愛の加工、指切りの体温、わたしたち、失敗を積み上げて幸せになるんだよ


自由詩 わたしたちの告白 Copyright 星染 2020-07-06 01:34:24
notebook Home 戻る